「テルマエ・ロマエ」 ローマ皇帝ハドリアヌスと養子ケイオニウス

「テルマエ・ロマエ」 ローマ皇帝ハドリアヌスと養子ケイオニウス

映画「テルマエ・ロマエ」は、古代ローマ人が現代日本にタイムスリップしてしまうというコメディ。

主人公ルシウス(阿部寛)は浴場を専門とする古代ローマの建築技師で、日本にタイムスリップしてはマッサージチェアや牛乳瓶を参考にして、ローマの浴場に反映したりしている。また、日本のテレビなどに驚愕する。

皇帝ハドリアヌス

テルマエ・ロマエには温泉好きの皇帝ハドリアヌス(市村正親)や、その養子である女好きのケイオニウス(沢村一樹)、そしてアントニヌス(宍戸開)が登場する。

この三人、ちゃんとローマ時代に実在した人たちである。

ハドリアヌスはローマ五賢帝の三番目の皇帝で、帝国内の各地を視察したり、改革を進めたりした。現在、ハドリアヌスは優れた皇帝と評価されているが、当時の評価はあまり良いものではなかった。

彼は旅の途中でアンティノウスという美少年に知り合い、一緒に東方を巡察した。しかし、アンティノウスはナイル川で溺死してしまった。この事件にハドリアヌスは泣いて悲しんだという。

「テルマエ・ロマエ」でもアンティノウスを失ったハドリアヌスが、意気消沈して温泉に浸かっている姿が描かれている。

ハドリアヌスはユダヤ教の本拠地エルサレムに新しい街を建設し、ユピテルの神殿を建設した。ユピテルはローマの最高神である。これに怒ったユダヤ人は反乱を起こした。ハドリアヌスはこの反乱を鎮圧するのにひどく苦労した。

ケイオニウスとアントニヌス

ようやく反乱を鎮圧すると、ハドリアヌスは後継者にケイオニウスを指名した。

ケイオニウスは美男子だったとされるが、若いこともあり特に大した実績を持ってはいなかった。ハドリアヌスは彼を正規執政官としてパンノニア総督に任命した。しかし、ケイオニウスは病で亡くなってしまった。

そこでハドリアヌスは、今度はアントニヌスを養子にした。アントニヌスはあまり若くなかったが、温厚な人物として評判が良かった。また、ケイオニウスには息子がいたが、ハドリアヌスはその息子をアントニヌスの養子にさせた。

こうしてハドリアヌスが亡くなると、アントニヌスが皇帝になった。ローマ五賢帝の四番目の皇帝、アントニヌス・ピウスである。

ローマでは皇帝が亡くなると神格化されるが、ハドリアヌスは市民から嫌われていたので、神格化には反対意見が出た。

危うくハドリアヌスは暴君にされ、「記憶の抹消」をされるところだった。記憶の抹消が行われると、統治の記録から名前がすべて消されてしまう。アントニヌスは涙を流して市民を説得し、なんとかハドリアヌスを神格化できた。

アントニヌス・ピウスの時代はハドリアヌスの政治が引き継がれ、安定した時代だった。彼はハドリアヌスのように旅をしなかったし、他の皇帝と比べると大した実績も残っていないが、それは安定した時間を過ごしたということだろう。

アントニヌス・ピウスの時代はローマ五賢帝の時代でも、最も平和な時代だった。

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