職務専念義務 絶対に守れない恐怖の労働契約

職務専念義務 絶対に守れない恐怖の労働契約

労働者には職務専念義務という、果たさなければならない義務がある。この義務を守れなければ、処罰されることがある。

精神のすべてを全力で用いなければならない

最も明確に職務専念義務が規定されているのは、公務員である。国家公務員法や地方公務員法にはっきりと書いてある。抜粋しよう。こう書いてある。

職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。 勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用いなければならない。

注目すべきは「全力を挙げて」の部分と「注意力のすべて」の部分である。勤務時間内は全精神で業務に集中しなければならない。

なお、民間企業の場合は明確な規定はないが「職務専念義務は当然あるもの」とされているので、違反すれば処分される。すべての労働者は勤務時間はすべての注意を全力で仕事に向けなければならないのである。

長時間の全力で集中は可能か

多くのフルタイム労働者の労働時間は一日八時間。昼休みなどの休憩時間を除き、八時間すべてに全力を出し切らなければならない。

昼休みを挟むと連続する勤務時間は四時間になるが、四時間ぶっ続けで精神を集中させるなどということは人間にできる芸当ではない。

たとえば大学の授業時間は90分、高校や中学校の授業時間は50分が多いが、これは人間の集中力がこのくらいしか続かないという理由で設定されている。15分勉強法などというものがあるように、実際には90分もの間集中するのも難しい。

だが、職務専念義務は休憩を挟むとしても四時間もの「全力の集中力」を要求している。

常に全力で集中し続けるなどということを続ければ、おそらく一日働けばぐったりして倒れてしまうはずである。倒れないのならば「全力」ではない。

誰もが処分される可能性

というわけで誰もが職務専念義務に違反しているわけだが、もっとわかりやすく見ていくと「タバコ休憩」「ティータイム」「雑談」「トイレ休憩」は職務専念義務に違反しているのか、ということが問題になってくる。

すべて「全力で集中」しているとは言えないので、職務専念義務違反に決まっているのだが、実際にはその多くが黙認されている。違反していてもバレなければいい、というわけだ。

人間の脳は、休憩を挟んだ方が高いパフォーマンスが出せる。だが、そんなことは関係ない。我が国は法治国家なので、現実よりも法律が優先する。労働者である限り、どれだけ効率よく業務を進めても、どれだけ組織に貢献していても、職務専念義務違反で処罰される可能性がある。

ちなみにテレビ中継で国会議員が居眠りしている姿を目にすることがあるが、彼らは上級国民なので職務専念義務はない。

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