「Re.ゼロから始める異世界生活」 繰り返される絶望と孤独からの光

「Re.ゼロから始める異世界生活」 繰り返される絶望と孤独からの光

異世界転生作品が人々の心をつかんだ。平凡な高校生が突然、異世界に飛ばされる。冴えないサラリーマンが交通事故に遭って異世界で生まれ変わる。

転生先は「異世界」。そこには魔法使いや騎士がいて、街の周辺にはスライムや魔獣が跋扈する世界。人間だけでなくエルフやドワーフ、体は人間で顔だけが獣のいわゆる亜人も登場する。

生活は不便で命の危険も多いが、自分が行くわけでもないので、とても楽しい世界である。異世界転生ものは現実逃避に最適の作品群である。

引きこもりが転生

「Re.ゼロから始める異世界生活」、略してリゼロは題名のとおり異世界転生をテーマにした作品。ライトノベルが多く出版され、アニメ化もされている。

主人公は引きこもりの高校生、ナツキ・スバル。彼がコンビニで本を立ち読みしているところから物語は始まる。

異世界転生ものは現代社会の描写を少なくして、さっさと異世界に転生するのが定番のパターンである。スバルも引きこもりではあるようだが、そのへんの事情は特に描写されない。ただし、大抵はあまり幸せな生活をしていない。

というわけで異世界に飛ばされたスバルだが、彼は既に「異世界転生」という言葉を知っていた。不安を抱えながらも、異世界でどのような物語が繰り広げられるのか、そして主人公特権は何かを探し始める。

平凡な高校生が異世界に転生したところで、普通は何もできない。異世界は魔法や剣の世界だから、高度な魔法が使えるとか剣術の達人だとかでなければ生きるだけでも精一杯である。

それでは物語として面白くないので、大抵は主人公特権が与えられる。さてスバルに与えられた能力とは。

安易な設定から重厚な物語へ

異世界転生ものとしては、割と平凡な始まり方のリゼロ。

だがスバルに与えられた能力は魔王を倒せる力でも、人を惑わす魅力でも、ご都合主義の運の良さでもなかった。彼は確かに能力をフル活用して物語を進んでいくのだが、基本的には本人の行動力、コミュニケーション力、思考で課題を解決していく。

少しずつ信頼できる仲間も増えていくのだが、物語の核となるのは「一人で解決しなければならない、終わりのない孤独と絶望」にある。

繰り返される絶望と孤独に立ち向かっていくスバルは、時に心折れそうになる。打つ手がなくなり、絶望の底に落とされたとき、彼は孤独から救い出される。

「Re.ゼロから始める異世界生活」は安易な設定を用いた物語ではなく、奥深い物語で読み手を満足させてくれる。

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