ユトランド沖海戦 大海戦を繰り広げたのは弩級戦艦ではなく巡洋戦艦だった

ユトランド沖海戦 大海戦を繰り広げたのは弩級戦艦ではなく巡洋戦艦だった

イギリス海軍は第一次世界大戦が始まると、ドイツとアメリカをつないでいた海底ケーブル五本をすべて切断した。

ドイツがアメリカと連絡を取るときには、すべてイギリスを経由しなければならなくなった。仕方なくドイツは暗号を使って通信するようにしたが、イギリスは暗号解読に全力を挙げた。

イギリス海軍は北海でドイツ海軍と戦っていたが、潜水艦Uボートによる被害が出てきたので作戦を変更し、ドイツ近海には近づかないことにした。そして大西洋には出られないようにドイツ海軍を封じ込めることにしたのである。

イギリスはドイツの暗号解読に成功しており、ドイツ海軍が出撃すれば事前にわかるようになっていた。

巡洋戦艦同士の戦い

1916年5月、ドイツ艦隊が動き出した。高速の巡洋戦艦でイギリス艦隊の一部をおびき出し、主力の戦艦部隊で殲滅しようという作戦だった。

通信を傍受したイギリス海軍は、全軍でこれを撃滅する作戦を立てた。

こうして双方はユトランド沖で戦うことになるが、最初に交戦したのは巡洋戦艦だった。巡洋戦艦は戦艦と比べると高速だが、防御力に難があった。

イギリス側の巡洋戦艦六隻、ドイツ側の巡洋戦艦五隻が交戦し、イギリスの「プリンセス・ロイヤル」「インディファティガブル」が沈没した。

その後双方の主力部隊が到着したが、やはり主役は巡洋戦艦だった。イギリスの残った四隻に、主力部隊から前に出た巡洋戦艦三隻が加わり、ドイツの巡洋戦艦五隻と砲撃戦になった。

夕暮れになり、ドイツ艦隊は戦線離脱を決めた。イギリス軍も野戦は望まず、いったん戦闘は中断する。そのままドイツ艦隊は離脱に成功し、翌朝にはイギリス艦隊も追撃をあきらめて引き上げた。

結局、お互いの主力艦である戦艦部隊は本格的な戦闘を行わず、ユトランド沖海戦は終わったのだった。

ユトランド沖海戦の影響

この海戦でイギリス海軍は巡洋戦艦三隻を失い、六千名が戦死した。ドイツ海軍は巡洋戦艦一隻と戦艦一隻を失い、二千五百名が戦死した。

ユトランド沖海戦では巡洋戦艦の防御力の低さが明らかになり、以降建造される巡洋戦艦には戦艦並みの装甲が求められるようになった。また、戦艦も高速化されていくことになる。

ユトランド沖海戦は、純粋な戦闘だけ見ればドイツ側の勝利だった。しかしイギリスは制海権を失わずにドイツ海軍にダメージを与えたから、戦略的にはイギリスの勝利だったと言われる。

どちらにせよ、戦力で大きく劣っていたドイツ海軍がイギリス海軍の制海権を奪うことは不可能に近かった。ドイツ海軍は艦隊決戦をあきらめ、Uボートによる通商破壊作戦に力を入れていくことになる。

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