「鋼の錬金術師」の世界 実在したホーエンハイムと錬金術

「鋼の錬金術師」の世界 実在したホーエンハイムと錬金術

鋼の錬金術師に登場する「錬金術」は、かつてヨーロッパで真面目に研究されていた。もちろん作中のように物質を自在に変化させて戦っていたわけではないが、立派な学問として通用していた。

ヨーロッパの錬金術、中国の練丹術

錬金術は化学によって物質を変化させる学問で、万病を治癒させる万能薬「エリクサー」の精製や、人間を不老不死にできる「賢者の石」の精製を研究していた。

物質を変化させるという考えは古代ギリシアの時代からあり、たとえば哲学者のタレスは「万物の根源は水である」と考え、ヘラクレイトスは「万物の根源は火である」と考えた。

化学の力によって金属を増やしたり、変化させる研究は古くから行われていた。

遠く離れた中国でも、不老不死の薬とされる「仙丹」を作り出す研究が重ねられていた。それは「練丹術」と呼ばれていた。

錬金術師ホーエンハイム

歴史上、最も有名な錬金術師はパラケルススという。彼の本名はホーエンハイム。ドイツ人である。

作中に登場する天才的な錬金術師、ホーエンハイムと同じ名前だ。もちろん、作者はホーエンハイムのことを知っていて名前をつけたのだろう。

実在したほうのホーエンハイムは、 ヨーロッパ各地を放浪しながら医術の研究をしていた。変わった男で、人々からはかなり怪しいやつだと思われていた。

ホーエンハイムの噂はたくさんあり、賢者の石の錬成に成功したとか、ホムンクルスの生成に成功したとか、悪魔を封じ込めているとか言われていた。悪魔使いだと思っていた人もいた。

七つの大罪

ホムンクルスと言えば、鋼の錬金術師には七体のホムンクルスが登場する。彼らの名前はプライド(高慢)、ラース(憤怒)、エンヴィー(嫉妬)などで、ある法則がある。

それがキリスト教における、人間を罪に導くという「七つの大罪」。

  1. プライド(高慢)
  2. ラース(憤怒)
  3. エンヴィー(嫉妬)
  4. グリード(強欲)
  5. ラスト(色欲)
  6. グラトニー(暴食)
  7. スロウス(怠惰)

中でもプライド(高慢)が悪に導く根源であり、他の大罪よりも上位になるらしい。作中でプライドが強かったのも納得である。

作中で人体錬成は禁忌とされているが、これはキリスト教の世界でも同様。人間を作り出すことは神の領域に踏み込むことになる。

このように鋼の錬金術師はヨーロッパやキリスト教世界の用語をモチーフにしている。

クセルクセス王とアメストリス

他にも、作中でホーエンハイムが仕えていたクセルクセス王は古代ペルシア帝国の王と同じ名前である。

クセルクセス王は古代の大国ペルシアの王で、首都ペルセポリスに巨大な宮殿を建設した。ギリシャ遠征には失敗したものの、ほぼ手に入れられるものは手に入れていたので、不老不死の薬を欲しがっていた可能性もある。

ちなみにクセルクセス王の妻の名はアメストリスという。こちらはエドワードたちの国の名前に採用されている。

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